恵生園開園
素人集団による利用者中心の福祉の業
ついに1976(昭和51)年6月1日、恵生園建設準備委員会が発足して約5年を経て、キリスト教徒による障害者福祉の実践の場「恵生園」が開園します。
喜びのスタートでしたが、神戸から移住した職員は全員が福祉については全くの素人。「利用者に必要なことは利用者に聞こう」を徹底し、信仰に基づく愛と奉仕を積み重ねて、フロンティア精神で障害福祉の道を切り拓いていきました。
また、地域社会との関係づくりも積極的に進めました。「とにかく住民に挨拶を」ということで、夕方に頭を下げたら郵便ポストだったという笑い話はこの頃の話です。
「キリストさん」と地域から温かく受け入れられて
歴史ある城下町は閉鎖的という定説通り、竹田もそうだと思っていました。しかし恵生園メンバーは早々に地域社会にうけいれられ、むしろ人気者でさえありました。
城下町竹田の人々は、恵生園を「キリストさん」と呼んで、福祉の実践に敬意を表すようになりました。初めに老人会、続いて婦人会と次々とボランティア活動が始まり、シーツ交換、窓ふき、草刈り、野菜の寄贈など多種多様の協力システムが、地域に拡散していきました。
兵庫県が発祥とされる中学生の「トライやるウィーク」。その原型は恵生園で始まった和田山中学校の福祉体験学習だと言われています。